機械学習での微分は、主に最適化問題を解く際に使われます。特に、損失関数(モデルの出力と実際のデータとの誤差を表す関数)を最小化するためにパラメータを調整するときに、その関数の微分(勾配)が重要な役割を果たします。ここで、基本的な概念と図を使って説明します。
1. 微分の基本
微分は、ある関数のある点における傾きや変化率を表します。数学的には、関数 f(x)f(x)f(x) の点 xxx における微分 f′(x)f'(x)f′(x) は、次のように定義されます。
f′(x)=limh→0f(x+h)−f(x)hf'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) – f(x)}{h}f′(x)=limh→0hf(x+h)−f(x)
この傾きは、関数のグラフにおけるその点での接線の傾きに相当します。
2. 機械学習における微分の利用
機械学習モデル、特にニューラルネットワークでは、損失関数 L(θ)L(\theta)L(θ) を定義し、この損失を最小化するパラメータ θ\thetaθ を見つけることが目的です。損失関数の微分 dLdθ\frac{dL}{d\theta}dθdL を計算し、この勾配の情報を使ってパラメータを更新します(勾配降下法)。
3. 勾配降下法の図解
勾配降下法は、損失関数の勾配を計算し、その勾配が示す方向(最も急な上昇方向)の逆方向にパラメータを少しずつ移動させる方法です。これにより、関数の局所最小値に近づけます。以下は、勾配降下法のプロセスを示す図です。
図の作成
以下の図は、2次元の損失関数 L(θ)L(\theta)L(θ) とその勾配を描いたものです。縦軸は損失 LLL、横軸はパラメータ θ\thetaθ です。赤い矢印は勾配の方向を示しており、黒い点はパラメータの位置を示しています。
plaintextコードをコピーするL
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|________________________ θ
この図は、損失関数が下向きの凸関数(ボウル型)である場合を表しています。パラメータ θ\thetaθ が左から右に移動するにつれて、勾配は減少し、最終的に0に近づきます。勾配が0の地点が最小値に相当します。
このように、微分はモデルの学習において、どのようにパラメータを調整すれば損失を減らせるかを示す重要な役割を果たします。